御嶽神社の祖霊殿大祭
御嶽神社では、若宮に祖霊殿を設け、全国の信者の霊を謹んで奉っており、毎年10月23日と24日の2日間にかけ、若宮で「祖霊殿大祭」が行われています。
今回、2024年10月24日に挙行された「祖霊殿大祭」の祭典に参加しましたので、その様子をご紹介します。
なお、御嶽神社では定期的に神事が行われており、別の記事で7月に執り行われた例大祭について解説していますので、ご関心がありましたら以下をご覧ください。
祖霊殿
御嶽神社の若宮には、その境内に「祖霊殿」と呼ばれる社殿が造られています。
御嶽信仰では、‘御嶽に生まれ御嶽にかえる’との考えから、御嶽のふもとに「霊神碑」を建てて先祖の霊を慰めます。木曽御嶽本教では碑を造れない信者のため、三岳に「祖霊殿」を建立し、毎年、慰霊大祭を斎行しています。
出典:日本遺産木曽路「15木曽御嶽山霊神碑群19御嶽神社里宮」
http://www.kisoji-isan.com/heritage/1519.html
なお、若宮については以下の記事をご覧ください。
10月23日
10月23日の夜は、御嶽神社の里宮の近くで「招魂祭」が挙行されます。
この日のため、全国から多くの信者が三岳地区に集まります。
かつてはこの日に地域の産品の展示・即売が行われるなど、全国の信者をもてなしていました。
御嶽神社近くの地域(合戸下殿・中部地区)では、23日と24日にかけ、地域の氏子を中心とした地元の人により、道筋に御嶽本教の御札がかけられます。
この御札の掲示は古くから絶えず行われてきており、地域と御嶽神社との強い繋がりを表しています。
この御札は里宮の境内まで続き、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
里宮には御嶽本教の総本庁があり、その前に立地する「覚明社」で先祖の慰霊を迎え火でお迎えします。
2024年の本年はあいにくの強い雨に見舞われ、かなり肌寒い中、多くの信者が集まり、静々と開催されました。
10月24日
10月24日は「合祀祭」が挙行されます。
「覚明社」から祖霊殿がある「御嶽神社若宮」まで神輿と共に信者の行列が歩き、その後若宮で神事が行われます。
①「覚明社」に集合
この日は朝から神官、氏子、信者などが「覚明社」に集まり、まずは神輿を若宮に渡御(とぎょ:みこしなどが出かけて行くこと)する前の神事を行いました。
神輿を担ぐのは、地元の氏子からなる「交嶽会」(こうがくかい)です。
神輿には天狗(てんぐ)が行列に加わります。画像にも天狗が写っています。
なお、担ぐ神輿はこの日のために白木で作られたものを使用します。
②神輿の移動
神輿が里宮を出発し、若宮に向かいます。
神官、氏子衆などの後を、全国の信者が続き、行列を作って若宮を目指します。
③若宮に到着
神輿が若宮に到着しました。
神輿は「祖霊殿」の前に安置され、信者の皆さんは、里宮の拝殿前に移動し、神事を待ちます。
④神事
拝殿の中に信者が座り、神事が挙行されました。
新たに亡くなった信者の霊の合祀と、すでに奉斎されている信者への慰霊を、「合祀祭」という形で合わせて行われます。
この祭典は、御嶽本教の各支部(関東の支部、関西の支部)が持ち回りで主催するもので、今年は東京の支部により挙行されたものです。
終わりに
神事が終わり、今年の祖霊殿大祭も終了しました。
全国の信者の皆さんが三々九度で解散し、氏子衆を中心に片付けが行われます。
この祖霊殿大祭が行われている間も、一般の方の御嶽神社への参拝は可能です。
三岳地区で古くから挙行されているこの祭り、気になる方は来年、足を運んでいただければと思います。
御嶽神社の次の催事は、11月23日の新嘗祭(にいなめさい)です。