御嶽神社の例大祭
御嶽神社は、三岳村が成立する前に存在した旧黒沢村の時代から地元の産土神社(うぶすなじんじゃ。地域を守るとされ、地域の人々に信仰された神社)であり、祭礼は地元の人々によって例年、7月18日、19日の両日に「例大祭」として開催されています。
また、毎年10月23日、24日には「祖霊殿大祭」と呼ばれる祭典も行われ、全国から多くの信者が御嶽神社を訪れます。
今回、2024年7月18日、19日に挙行された「例大祭」の神事(祭り)に参加しましたので、その様子をご紹介します。
なお、御嶽神社の歴史については、以下の御嶽信仰に関する記事で説明しています。
7月18日
「例大祭」では、御嶽神社による神事のほか、里宮と若宮の間、神輿(仮称で「大神輿」に呼ぶことにします)を担いで移動させる儀式を行います。
神輿は、祭りに参加した氏子(うじこ)が担いで移動させます。
さらに、若宮からは少し小さい神輿を担ぎ、黒沢にある御嶽神社の別殿まで移動させます。
この際は、道々で地元の住民が担ぎ手の氏子をねぎらい、小宴を催してくれます。担ぎ手の氏子にとって、休憩のひと時です。
①御嶽神社里宮に集合
祭り初日である7月18日の昼、晴れ渡る暑い天候の中、御嶽神社の里宮に氏子が30名ほど集合しました。
この日に集まる氏子は、三岳地区のうち、旧黒沢村だった地区の住民が、毎年交替で務めることになっています。
既に、拝殿の中へ神輿が運び込まれていました。
神事の開始まで、しばし歓談して氏子同士の旧交を温めます。
②神事と神輿
里宮では、御嶽神社の宮司を始めとする神主の皆さんや、地元の氏子を代表する氏子総代さんなどにより、「例大祭」の神事が挙行されました。
神事が終わった後、里宮に収められていた大神輿を若宮まで移動させます。
この大神輿、重量は300㎏以上にもなり、大人16人で担ぎ上げて精一杯の重さです。
晴天の厳しい日差しの中、里宮から若宮の急峻な道を、氏子の皆さんで力を合わせて担ぎ上げました。
③若宮に到着
1時間ほどをかけ、大神輿を若宮の神社まで移動させました。
神事ではありますが、地元住民からなる氏子の皆さんが神輿の担ぎ手となっているため、どこかほのぼのした雰囲気です。
若宮に到着しました。ここでも神事が行われた上で、宮の中に大神輿を安置しました。
ここからは小型の神輿に持ち替え、黒沢にある御嶽神社の別殿を目指します。
この神輿は4人の担ぎ手で足りる大きさのものです。
④若宮から黒沢へ(合戸峠入口経由ルート)
黒沢の拝殿への移動中、住民の皆さんが担ぎ手の氏子をねぎらってくれるため、いくつかの箇所で神輿を降ろし、小休止しました。
それぞれの場所では、担ぎ手に軽食が振る舞われ、賑やかな交流の場となっていました。
若宮から黒沢の宮へ、約3時間の行程をかけ移動しました。
暑かった日差しも徐々に無くなり、夜のとばりが下りる中、黒沢の別殿へ到着しました。
7月19日
2日目となる7月19日は、黒沢に移動してきた神輿を若宮に戻します。
若宮に戻るルートは、18日の道順と少し異なり、中部地区の三ツ屋という場所を通過する道のりを経ることになっています。
若宮でも神事が行われます。
➄黒沢から若宮へ(三ツ屋経由ルート)
朝8時過ぎに、黒沢にある御嶽神社の別殿に氏子が集合しました。
ここから、昨日移動させてきた神輿を若宮に戻します。
宮司を始めとする神主さんの皆さんによる神事を終え、氏子の神輿担ぎが再開されました。
⑥若宮に到着、神事へ
途中で地元の方のもてなしを受けながら、約1時間ほどの移動で若宮に到着しました。
小さな神輿は若宮の神社へ安置され、神事が挙行されました。
このあと、大神輿を担いで境内を練り歩く祭礼が行われました。
かつては若宮の神社全体を周りましたが、現在は、神社境内にあるお宮の周りを3周する儀式を行なっています。
⑦クライマックス!太々神楽(だいだいかぐら)の奉納!
19日の午後には、「例大祭」のクライマックスとして、地元の太々神楽保存会の皆さんによる「太々神楽」の舞が実演されました。
「太々神楽」は、その年の豊作を祈願する祭事で、有志の保存会の皆さんを中心に保存・継承されています。
御嶽神社に伝わる「太々神楽」は12の演目があり、これを3年間かけて披露しているそうです。
1年間で4演目を行うペースです。
今回は、
・「弓矢鍛冶」(ゆみやかじ)
・「舞台舞」(ぶたいまい)
・「巫女舞」(みこまい)
・「三剣の舞」(さんけんのまい)
が演じされました。
それぞれ5分以上の演目で、特に「三剣の舞」は30分ほどにもなる大演目です。
踊り手の熟練・鍛錬された所作、美しい舞は、息を飲む出来栄えで、見ごたえ十分でした。
まとめ
今回は、御嶽神社の「例大祭」について取り上げました。
極めて長い歴史を有する御嶽神社の神事に参加することができ、大変良い機会でした。
「例大祭」は、御嶽神社と地元の氏子さんが力を合わせて執り行っていますが、一般の方も見学可能です。
特に「太々神楽」については、いにしえより継承されてきた所作を今日に伝える、非常に貴重で日本的な無形の文化財です。
その素晴らしさは地元民だけでなく多くの皆様にご覧いただきたいもので、かつ、次世代に繋いでいきたいものです。
「例大祭」「太々神楽」を目的に、ぜひ来年の7月19日午後、若宮にご訪問ください。
秋には「祖霊殿大祭」と呼ばれる祭典も行われます。可能であればその様子もご紹介できればと思います。