三岳はブッポウソウの繁殖地
ブッポウソウは、初夏から夏のうちに見ることができる鳥です。三岳は以前から、ブッポウソウの繁殖地であり、旧三岳村の頃から、天然記念物に指定されていました。
また、三岳の貴重な財産として、国の文化遺産にも登録されています。
今回は三岳のブッポウソウについて、ご紹介します。
ブッポウソウとは
ブッポウソウは、漢字では「仏法僧」とも書く、野鳥の一つです。初夏に大陸から渡ってくる渡り鳥です。秋には戻っていきます。日本にいるうちは、本州、四国、九州で繁殖しています。社寺林など大木のある森にすみ、大木にできる樹洞に営巣するようです。
全長29cm。全身緑色でくちばし、足は赤色、飛ぶと翼に青白色の斑が出ます。日本では夏鳥で、本州、四国、九州で繁殖しています。社寺林など大木のある森にすみ、大木にできる樹洞に営巣します。近年は巣箱を架設し、個体の増加をはかっている地方があります。仏教の聖地の森林で観察され、その姿の美しさから(中略)霊鳥とされていました。
【サントリーの愛鳥活動】
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1484.html
ブッポウソウという不思議な名前はその鳴声に由来があるようです。
かの有名な弘法大師があるとき、この鳥の鳴き声を「ブッポーソー」と聞き、それが由来でブッポウソウと名付けられた、とされています。このことは、弘法大師の「性霊集」に記載されているようです。
- 性霊集の記載
閑林独坐草堂暁 三宝之声聞一鳥
一鳥有声人有心 声心雲水倶了了
【意味】
高野山の静かな林中、暁の草堂に独り座して無我無想の境地にいる時、どこからともなくブッポーソーと鳴く一羽の鳥の声が聞こえる。
鳥は無心に鳴いているのであろうが、聞く人は心に感ずるものがある。鳥の声と人の心とが、さらに山中の雲と川の流れとが一つに融けあって、ここに仏の教えをはっきりと悟ることができた。
ただ、その後の研究では、「ブッポーソー」と鳴く鳥は、コノハズクだったとされており、現在「ブッポウソウ」と呼ばれている渡り鳥とは違う鳥を指していることになりますが、「ブッポウソウ」の鳥名はそのままとなっています。
実際には、「ゲッ、ゲッ」と鳴くことが知られています。以下のリンク先でその声を聞くことができます。
天然記念物の指定
ブッポウソウは全国的にその数を減らしており、環境省のレッドリスト(2020年)に絶滅危惧IB類で登録されている希少な鳥です。
旧三岳村においては、昭和10年6月7日に、御嶽神社里宮、御嶽神社若宮、三尾の日向八幡宮が、天然記念物として「三岳のブッポウソウ繁殖地」の指定を受けています。
御嶽神社里宮の登り口と若宮の入口に「天然記念物三岳山仏法僧蕃殖地」、側面に「史蹟名勝天然記念物保存法依文部大臣指定」と書かれた標柱が建てられています。
まとめ
ブッポウソウは、初夏に南方より海を越えて渡ってきて、7月~8月には国外に帰ってしまうようです。6月中であれば、運がよければ御嶽神社里宮、御嶽神社若宮、三尾の日向八幡宮あたりで見られるかもしれません。
双眼鏡を持って出かけてみては如何でしょうか。