日向(ひなた)の阿弥陀堂

旧三岳村の三尾地区日向(ひなた)には、「阿弥陀堂」という建物があります。
境内には百体余りの石仏も鎮座しており、壮観です。

古くから地域の人に大切に守られてきた阿弥陀堂について、ご説明します。

阿弥陀堂の由来

日向の阿弥陀堂には、平安時代に造られた阿弥陀如来の坐像が安置されています。この座像は木曽谷最古の仏像と伝わっています。

言い伝えによれば、この仏像は、応仁の乱(1467年)の頃、日向に館を構えていた「田屋殿」という人が、その一族を引き連れ京都に行き、帰りに荒れ果てた都に転がっていたこの仏像を持ち帰った、とされています。

当時の世相から考えると大変危険な帰途だったと思われ、なぜそのような危険を冒して京都から仏像を持ち帰ったのかは不明ですが、相当な覚悟のもと、大切に持参したと考えられます。

阿弥陀如来

持ち帰られた仏像は以後、布で巻かれ秘蔵され、明治の頃までは誰も見ることができなかったようです。

また、現在の場所へは慶長(1612年)に、三尾地区下条のお堂から移されたとも言われています。

霊験あらたかな如来とされ、厄除け、災難よけとして、かつては厄年の人が元旦からお参りに来ていたと伝わっています。

現在

現在も日向の人々によって大切に保存されており、如来像そのものは昭和54年に県の文化財の指定を受けました。

また、阿弥陀堂の境内には百体余りの石仏もありますが、その中には、天保3年に日向の女人講が建てた地蔵菩薩像もあります。

なお、この阿弥陀堂の近くには、創立年は不明の「八幡宮」があります。
三岳村に合併する前の旧三尾村の産土神(人々が生まれ育った土地の守護神)で、祭神は誉田別命(ほんだわけのみこと)=応神天皇です。
4月と10月に祭礼が行われていました。

阿弥陀堂を拝観した上で、八幡宮にも足を運んでみては如何でしょうか。